はじめに
USBケーブルチェッカー3はUSBケーブルの結線の確認、電源線抵抗値の測定、eMarkerのデータ読み出し、USBポートの給電能力やAlternate modeの対応を確認できます。
バッテリーについて:
バッテリーは単4電池2本使用します。アルカリ電池、ニッケル水素充電池が使用可能です。
注意事項
- VBUS Hot※のポートに20Vを超える接続をすると恒久的な破壊を引き起こしますので避けてください。
- 電池の極性を間違えないように入れてください。
- 3分間何も操作がない場合自動的にパワーオフします
ボタン配置

使用方法
電源ボタンを2秒程度長押しすることで電源のON/OFFを切り替えます。
本製品にはケーブルチェックモードとポートチェックモード、それらを自動で切り替えるAUTOモードの3つのモードがあります。
初回起動時はAUTOモードになっています。
基本的にはAUTOモードでの使用で問題ありませんが、AUTOモードではSink portの検出ができないという制約がありますのでご注意ください。また、Cable/Portの誤判定が発生する場合もお手数ですが調べたい対象に合わせて、正しいモードに切り替えて使ってください。
UCC3で電池の種類を選択する
設定にて電池の種類を正しく選択することで電池残量の表示精度が向上します。
電池交換時に正しい電池の種類をセットしていただくことを推奨いたします。
電池種別の選択方法
何も接続していない状態で操作ボタンを長押しすると、電池種類選択画面に切り替わります。
アルカリ電池を使用の場合は「Alkaline」、ニッケル水素充電池使用の場合は「Ni-MH」を選択してください。
ケーブルチェックモード
できること
・USBケーブルのワイヤの線の導通、断線の確認
・接続されているワイヤからケーブルタイプの判別
・VBUS線とGND線の抵抗値の計測
・eMarker情報の読み出し
ケーブルチェックのやり方
USBポートのA側、B側の配置図
ケーブルチェックモードの時USBポートにはA側、B側という区分があります。
左からポートA側Type-Cポート 、A側 USB Aポート、B側 Type-Cポート、B側Micro-Bポートというポート配置になっています。
ケーブルチェック接続例


チェック方法:上図のように本体A側ポートとB側ポートをUSBケーブルで接続します。
下図のようにA側同士、B側同士のポートを接続してもチェックされないのでご注意ください。
NG接続例


ケーブルチェックモード画面
ケーブルチェックモードではUSBケーブルのワイヤの接続と電源線抵抗値の計測、eMarkerデータの読み出しができます。ワイヤーチェックでは導通している線が表示されます。SBUとSuperSpeed信号線(TX1,RX1,TX2,RX2)は差動対の+側と-側両方の導通があった場合のみ表示されます。(例:TX1+ は導通しているが TX1-が断線している場合。”TX1”は表示されません)
アクティブケーブルの導通チェックは非対応です。(eMarker情報の抜き出しは可能)
表示される電源線の抵抗値はコネクタの接触抵抗値を含むVBUS線とGND線の抵抗値の合計値です。
eMarkerデータの取得に成功した場合は操作ボタンを押すことでデータを表示できます。
ケーブルチェックモード 用語解説
eMarker
USB Type-Cケーブルのプラグ部分に搭載されたICチップで、ケーブルの仕様(最大電流、電圧、データ転送速度など)を記録しています。主に60Wを超える電力供給に対応するために必要になり、このデータを読み取ることで、ケーブルがどのような機能に対応しているかを判別できます。
EMC
eMarked Cableの略称、eMarkerを搭載したケーブルのこと
SuperSpeed信号線(TX1, RX1, TX2, RX2)
USB 3.0以上の高速通信規格で使用される信号線のことです。データ送信(TX: Transmit)と受信(RX: Receive)の両方に対応しており、それぞれプラス(+)とマイナス(-)のペアがあります。TXn-RXnの組み合わせで1レーンを構成します。フル結線のType-Cケーブルには2レーン分のワイヤがあります。DisplayportやThunderbolt等のAlternate modeで使用する場合2レーン分のワイヤが必要になります。
VBUS線
USBケーブル内の電力供給ラインで、接続されたデバイスに電力を供給する役割を担います。
GND線
USBケーブル内の基準電位(グランドライン)を示す線で、電気回路における「基準点」として動作します。GND線もまたVBUS線と同様に電力を供給する役割を担います。
CC線
TypeCケーブルにおいて主にホスト、デバイスの識別やUSB PD通信に使用されるワイヤです。
様々な機能を「使用できるかどうか」がこのワイヤを通してデバイス間でやり取りされます。
SBU線
Side Band UseとしてUSBデータ通信以外のデータ(音声や映像等)をやり取りする際に使用するワイヤです。
主にオルタネートモードで利用されます。
D+,D-線
USB2.0迄のデータ通信 (LowSpeed / Full Speed 及びHigh Speed)を行うために使われるワイヤです。
ポートチェックモード
できること
・USBポートのPower roleの確認*1
・Power Data Objectの取得(Source / DRP のみ) *2
・Alternate Mode( DisplayPort / Thunderbolt )の対応可否を確認 *3
・D+D-線を使用した充電モードの解析(DCP / Apple divider / QuickCharge )
・Discover Identityコマンドに対するレスポンス確認
ポートチェックのやり方

チェック方法:USBケーブルチェッカー本体のUSBポートと対象のUSBポートをUSBケーブルを繋ぎます。この際接続するポートはA側、B側、どのポートでも構いません。ただし誤作動の原因になりますので同時に2つのポートには接続しないでください。
対象のUSBポートと接続されると自動的に解析が始まります。対象のポートがUSB PDに対応していた場合、PDOを表示します、またDiscover Identitiyコマンドを発行して反応があった場合レスポンスデータを表示することができます。
ポートチェックモードにおける注意事項
*1 Sinkポートはポート種別の判別のみしか対応していないことにご留意ください。またAUTOモードの場合ポートロールがSinkのデバイスを繋いでも無反応となります。その場合Port checkモードに切り替えてください。
*2 最大のSource Capabilityを取得するため、取得できるPDOがケーブルの最大許容電流値や電圧値によって制限される場合がありますので、USBケーブルはなるべく最大許容電流値が5アンペア対応のものやEPR対応のものをご使用ください。
*3 Alternate modeのDisplayPort送信側については端末がDiscover Identityコマンドへ反応しない場合など必ず判別できるわけではありません
ポートチェックモード画面解説

DRPポート接続時画面

Sourceポート接続時画面
PDOリスト表示画面解説

PDO番号:0~7の数字
PDO種別: 略称で表示されています。
FIX:Fixed PDO
BAT:Battery PDO
VAR:Variable PDO
PPS:PPS APDO
AVS:EPR AVS APDO (SPR AVS PDOには非対応)
カッコ()で囲われた数字はそのPDOで供給可能な最大電力を表示しています。Fixed PDO等の最大電力が含まれていないPDOタイプの場合、電圧と電流の積を計算して表示します。
ポートチェックモード 用語解説
VBUS Hot
常時VBUSに電圧が印加されている状態
Sourceポート
電力を供給する側のポートのこと。USB ACアダプタのポート等、USB Type-Aポートのほぼ全て
Sinkポート
電力を受け取る側のポートのこと、Bluetoothイヤフォンのケースのポート等
DRPポート(Dual Role Port)
接続されたポートに応じてSourceにもSinkにもなるポート。スマートフォンやノートPCのポート等
Dedicated Charging Port(DCP)
主に充電専用ポートを指します。このポートはデータ通信をサポートしない代わりに、効率的な充電を提供します。
Alternate Mode(オルタネートモード)
USB Type-Cポートを利用して、映像や音声を出力する規格です。たとえば、DisplayPortに対応していれば、外部ディスプレイに映像を送ることができます。
Apple Divider
Appleデバイスが特定の充電電流(例: 1Aや2.1A)を要求する際の電圧分割方式のことです。この方式に対応していると、Appleデバイスを最適に充電できます。
PDO (Power Data Object)
USB PDに対応した電源供給側(ソース)のデバイスが、どのような電圧と電流の組み合わせで電力を供給できるかを記述した情報のことです。
Fixed PDO
特定の固定電圧と最大電流を定義するPDO。PDOにおける最も一般的な形式で、5V、9V、15V、20Vなどの標準電圧がよく使われる
Battery PDO
電圧が一定範囲内で変動し、対応する最大電流を定義するPDO。あまり使われていない
Variable PDO
バッテリーから直接電力を供給する場合に使用され、バッテリーの電圧範囲と容量を定義。あまり使われていない
PPS APDO(Programmable Power Supply Augmented PDO)
電圧と電流を細かく調整可能なPDO。電圧は通常3.3V~21Vの範囲で、25mV刻みで調整可能。主にスマートフォン等の高速充電に用いられる
AVS APDO
電圧と電流を細かく調整可能なPDO。PPSと似ているが100mV刻みで調整可能ということと電流制限をサポートしない等の違いあり。
Discover Identityコマンド
USBPDにおいて製品タイプや能力に関する情報を取得するためにポートやプラグに対して送られるコマンド
―――本製品取扱についてのご注意―――
・本製品は、ホビー向け商品です。
・記載の部品性能は部品単体での性能であり、製品寿命を保証するものではありません。
・ご利用のケーブルによってはすべての機能をご利用いただけない場合があります。
・本製品の動作には単4電池2本が必要となります。取り扱いにはご注意ください。
・本製品の使用に関し当社の責に帰すべき事由に基づき、お客様に損害が生じた場合、直接被害に限り、販売代金を上限として損害を賠償し、いかなる場合においても販売代金以上の損害を賠償しないものとします。
・改良のため、予告なく仕様変更をすることがあります。あらかじめご了承下さい。
基本仕様
本体寸法 約 70x40x22mm
重量 約65g(電池含)
搭載部品 LCDディスプレイx1 電源スイッチx1 操作スイッチx1
対応USBインターフェイス 〈A-Side〉USB Type A , USB Type C 〈B-Side〉USB Micro-B , USB Type-C
起動時消費電力 120m[W]
待機時消費電流 1μ[A]未満
動作環境 温度 0~45℃、湿度 10~60%(ただし結露しないこと)
電源 単四電池x2
内容物 本体、保証書
保証期間 6か月